沈黙は歌い 暗黒は光線に溢れ 光は おのれに対応するものを 旋律のうちに探し求め 静寂は ことばによって おのが解放に至らんと努め 生命は 地底の暗がりに潜む 草木と花とのいかに稀れなことよ 果実のいかに稀れなことよ ダグ・ハマーショルド この一年に、心からの感謝を贈ります。 どうぞ、よいお年をお迎えください。
アトリエ、今年最後の日。 雪の花、 赤い実、 芽吹いた球根。 笑顔がいっぱいの一日。 松ヤニで真っ黒の手をぼんやりと眺めながら、 溢れそうな思いで、胸がいっぱいになる。 出会い、繋がり、広がる。 この一年を、どんな言葉で語ろう。
眠らない森の、眠らない人。 ありがちな高みからの光りと、 ひと時の静けさ。 感性のバランスを自然に委ね、 名前のない道を歩く。 必要でないものから開放された時、 ようやく自由に飛ぶことができた。 ウメモドキの枝先に見つけた、小さな忘れ物。
野イバラ、 五葉松、 山坊師 満作、 山葵、 山つつじ、 沢蓋木。 冬の花と、小さな山の苗、色々。 山の空気は凛としていて、 切り取られた窓の向こうは、一面に広がる緑の茶畑。 踏み出すのは、今だと思う。 だから今日は、ピンクのセーター。
窓辺の椅子に腰をかけ、陽射しに背を向け暖をとる。 柔らかな午後の、心地良い時間。 幸せな瞬間は、 一日に何度も訪れる。 小さな花が、優しい光をまとった時、 今日も、幸せって思った。
月曜日には、赤いバラ。 木曜日には、青いバラ。 華やかな花に触れたから、今日は少し静かでいよう。 小さな白い一粒は、まるで清楚な真珠のようで。
指先に刺さったままの小さなトゲが、 まだ抜けない。 思い出しては、時々痛む。 頬にできたニキビが、なかなか治らず、 左でなくてよかったと思う。 箱の中に閉じ込めていたものは、もう一つも残っていない。 針のような葉と、その先に芽吹いた花。 望まれなくても、咲いていい。
十二月。 カレンダーは、最後のページ。 今年もまた、清々しい香りの木々を束ねる。 蔓を巻いた、大きな輪。 シンプルな緑の束。 小さな輪に、小さな赤い実。 一つ一つ心を込めて束ねては、そっと誰かの元へ行く。 森のような香りをまとい、 始まりがあり、終わりはない。 永遠の緑。
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