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2013.6.29
くちなし

なんだか眠いのは、太陽のせい。
名前が思い出せないのは、暑さのせい。

甘い香りは、くちなしの花。
白い蕾が咲かないのは、きっと素直になれないから。
それでも、ピアノの音色は美しく。

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2013.6.28

行き先を聞いたところで、
風任せなのはわかっている。
地図を広げるよりも、もっと大切なことはある。
なぜそこへ向かうのか。
とくに理由はないのだけれど、
ただ、それを選ぶ自分でいたいと思う。

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2013.6.21
夏至

山から届いたイチゴの実。
サルトリイバラの実はまだ青く、
山ぐるみの花穂は、しな垂れている。
アーティーチョークの花が咲き、
チューリップの実は種を待つ。
春の花が終わり、夏の花が始まる。

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2013.6.19

月は、夜の沈黙をとらえ、
人間は、自然の一部分に過ぎない。
降らない雨は、
ピカートの沈黙の如く。
夕方のラジオでは、雨の音楽が流れるから。
そんなお知らせをいただいて、
そしたら雨が降りだした。
ひさしぶりの雨に心は踊り、
草花は深く呼吸を始める。
今の私が、今感じていることを、
どんなふうに伝えよう。
雨が降ったから、考え始めたこと。
雨の音に、声が重なる。

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2013.6.18
ハーブのリース

ブルーバジル、ミント、ローズマリー、オレガノ、
色々。
爽やかな香りに包まれながら、リース作り。
さくさくと作られたり、
丁寧にあしらったり、
華やかに、大胆に、繊細で、慎ましやかに。
同じ植物が、全く違った表情に見えて、
人もまた、そんなふうだと思ったり。

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2013.6.15

六月のサロン、終了いたしました。
連日たくさんの方々にお越しいただいて、
本当にありがとうございました。
硝子ケースに並んだフランスの焼き菓子、
草花に囲まれた場所、
チェンバロの音色、
たくさんの笑顔と声。
いつもの場所が、いつもとは少しちがっていて、
それでもやっぱりいつもの空気の中で、
とても幸せな時間を過ごすことができました。
心から、感謝の気持ちでいっぱいです。
いつかまた、フランスの風が吹きますように。
一日の終わり、
見上げた空には綺麗な虹。

2013.6.10
Salon de the

六月、アトリエがサロンになります。
初夏の草花と、
フランスの焼き菓子。
皆さまのお越しをお待ちしております。

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2013.6.9
紫陽花

紫陽花が咲き始めた。
雨は降らない。
できたばかりの口内炎がヒリヒリとして、
だから歩くのをやめた。
気まぐれな花のように、何も決めずにいようと思う。
いつもよりも少しだけ短く、
髪を切った。

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2013.6.8
沈黙

雨の降らない六月。
遠い街に住む友人に、会いに行った。
彼女と出会ったのは、十四歳の頃。
一緒に遊んだ記憶は、ほとんどない。
それでも、自然と繋がっている。
言葉を交換し、音楽を聴き、心で寄り添っていた。
十数年ぶりに会っても、その感覚は変わらない。
いっぱい笑って、ちょっと泣いて、
過ぎゆく時間を惜しむように、話をした。
本当は雨が好きだけど、
今日だけは降らないでって、心で祈る。
会えなくても繋がっていて、
言葉を交わさなくても、通じ合えること。
想い出の中で、笑っていられること。
音楽に包まれ、真っ暗な空を見上げながら、
このまま朝が来なければいいのにと思う。
沈黙の中に、そっと寄り添っていた言葉。

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