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2013.4.29
今日のこと

後片付けもしないまま、外に出た。
気になっていたことがスッキリとして、
空が青く光って見えた。
白球を追う姿とか、夢中で絵を描くこととか、
何でもない日常に横たわっている、
小さな幸せについて。
華奢な桜をお届けして、
モミジの傍に置いてみた。
美しい佇まいの、素敵なお庭。
可憐な鈴蘭を植えて、
秋明菊を植えて、
草を抜いて、枝を切った。
新しく繋がっていくことや、
これから出会うかもしれない誰かのこと。
大切なものを忘れてさえいなければ、
きっと見えるものはある。

2013.4.26
写真

写真展、最終日。
曇り、時々晴れ、時々嵐。
この一週間で、
どれだけの方がこの場所を訪れてくれただろう。
静かに眺めたり、
笑顔がはじけたり、
言葉を交わしたり。
風景の中に、静かに溶け込み、寄り添う。

植物と、写真と、人と、風景。
こんなにも小さな場所で繋がっていること。
繋がっていくこと。
写真展。
期待と不安の詰まった初めての試みでしたが、
たくさんの方々に足を運んでいただいて、
とても充実した素敵な時間を過ごすことができました。
心から、感謝いたします。
ありがとうございました。
終わりの時、
真っ白になった壁を見つめて、ちょっとぼんやりしていた。
小さなユーカリの木を抱えた彼女は、
また次のステージへ。

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2013.4.24
穀雨

外は雨。
しっとりとした空気と、濃い草の香り。
白い壁には、いつかの風景と植物の影。
雨の日のこの場所が好きで、
やっぱり雨が好きで。
新緑に光る滴を見つけて嬉しくなったり、
澄んだ夜空に流れる星を探したり、
少しずつ膨らむ蕾を、
いつまでもいつまでも眺めていたり。
白い花が好きで、
すらりと伸びた木が好きで、
朽ちていくものを愛おしいと思う。
何気ない日々を彩る、かけがえのないもの。

雨が好きなあなたにと、
薦めていただいた本を、五月になったら読んでみよう。

2013.4.21
語り

写真展、二日目。
いつもと少し違う風景の中で、
一日を過ごしている。
朴の葉はゆっくりと膨らみ、、
チューリップは首をもたげ、
ウラジロの木は、凛と佇む。
写真の中の景色には、物語がある。
あの日の色、
あの日の音、
あの日の香り、
あの日の想い。
語らずとも伝わるものがあるとすれば、
それを静かに見届けたい。

2013.4.19
写真展

植物の断片、
色、
空気、
音、
気配、
そこに存在していたもの、
四季は移ろい、
日々変化する花々、
その瞬間を閉じ込めた一枚。

大切な記憶の数々が、四月のアトリエを彩ります。
明日から、中曽根佳央理さんの写真展が始まります。
皆さまのお越しを、心よりお待ちしております。

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2013.4.18

空を自由に飛び回る鳥を見ると、
ほんの少し、胸の奥がチクリと痛むことがある。
子どもの頃、鳥を飼っていた。
自由に飛べない鳥だった。
仲間のいない鳥だった。
飢えを知らない鳥だった。
感情は、存在していたのだろうか。
あるエッセイの一節が、ふと頭をよぎる。

それは、ほんとうは飛びたかった鳥だった。
必要な飢えによって飛ぶ鳥。
しかし、不必要なゆたかさによっては、
どこへも飛べなかった鳥だった。

鳥は、空を飛んで生きる。

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2013.4.16
朧月

流れていること。
吹かれていること。
語らずにいること。
信じること。
見上げた空には、ぼんやりと霞んだ月。
「おぼろ月だよ。」

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2013.4.13
姫コブシ

夢を見た。
内容は、よく覚えていない。
記憶は、とても曖昧なのだ。
時の断片を繋ぎ合わせて、地図を広げてみる。
寄り道しても、遠回りでも、
たどり着く場所があればいい。
木蓮が終わり、コブシが咲いた。
ほおの蕾は、固く閉じたまま。
ジューンベリーの花が風に舞い、
猫がお庭を横切った。
昔一緒に暮らしていた猫は、
美しく光る灰色で、丸い目をした男の子だった。
忘れられない存在が、記憶の中にはある。

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2013.4.12
ミツバツツジ

山からのお届けもの。
ピンク色に染まった四月の山を、
目を閉じて想像してみる。
ツツジの季節を、心待ちにしていた。
ツツジが咲いたら、春が来るから。
ツツジが咲いたら、朝になるから。
すました顔のその花を、
息を止めて、そっと押す。

2013.4.11
新月

きりりと冷えて、澄んだ夜空。
新しい月が生まれる日。
目には見えなくても存在していて、
いつも近くに感じることができるもの。
何かに包まれていること。
長かった髪をバッサリと切った彼女は、
新しい自分に出会い、

軽やかに笑っている。
そして
私は、新月に願いを込めた。

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2013.4.9
蓑虫

一生懸命な姿に、
がんばれって思う。

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2013.4.8

門を叩いて、扉を開いた。
まだ見たことのない世界。
新しい景色。

そこは、どんな居心地だろう。
居るべき場所なのかも
わからないけど、
とにかく踏み出してみた。

自らの心で、選んで動く。
透明な光が射す方へ、
静かに風が吹く方へ。

今朝、チューリップを買った。
バレリーナという名の、オレンジ色の花。
もうすぐ、チューリップの季節が終わる。
山ツツジは、今日も元気。

2013.4.5
草色

草色のスカートを着て、街に出かけた。
街路樹の若葉がキラキラとして、
上ばかり見て歩いていた。
迷うことには慣れている。
迷わなければ、楽しくない。
今伝えたいことは、今伝えよう。

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2013.4.4
最初の一輪

山葵の花が、静かに咲いた。
山ツツジの新芽は、
昨日よりも成長している。
ジューンベリーの木に、最初の一輪。
メジロが、そっと羽を休める。
春の日の、穏やかな午後。
嬉しいお届け物に胸は躍り、
嬉しい言葉に、胸が鳴る。
大切なノートには、大切な想い出が横たわっていて、
ふと、どくだみ草の香りがした。
もうすぐ、そんな季節がやって来る。

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2013.4.3

桜が咲いた。
お花見はしないけど、花を見る。
蕾を見て、幹肌をみて、
ほんの少し芽吹いた枝先を見る。
デッサンをしている横で、
鉛筆がこすれる音を聴いていた。
白と黒。
光と影。
線と線。
重なり、重なる。
その目に見える景色は、どんな色をしているのだろう。
その向こうには、どんな世界が広がっているのだろう。
風の記憶と、混沌とした空気。
藤蔓に繋がっていた種が、激しい音を立てて飛び散った。
「感情は信じられなくても
 感覚は裏切らないとおもう」
私も、心で手紙を書くからね。
桜咲く、

始まりの四月のこと。

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